
【British Military】【ブランドの歴史】British Militaryって何?
British Militaryって何?
ヴィンテージ古着の世界で「British Military(ブリティッシュミリタリー)」と呼ばれるのは、イギリス陸軍・海軍・空軍などで実際に支給されていた軍服や装備品のことです。アメリカ軍のミリタリーウェアに比べると国内での流通量は少なめですが、ウールやデニム、コットンといった素材の使い方、独特の迷彩柄、タグに残る細かな表記など、イギリスらしい個性が詰まっています。
この記事では、イギリス軍の成り立ちと、古着として出回るアイテムの背景にある軍服の歴史を順に紹介します。
イギリス軍の成り立ち
イギリス軍は、陸軍(British Army)、海軍(Royal Navy)、空軍(Royal Air Force)を中心に構成されています。それぞれ成り立ちの時期が大きく異なるのが特徴です。
海軍(Royal Navy):起源は16世紀にさかのぼり、1546年にヘンリー8世のもとで組織として整えられました。三軍の中で最も古いことから「シニア・サービス(Senior Service)」とも呼ばれます。
陸軍(British Army):1660年の王政復古の後、チャールズ2世のもとで平時にも維持される常備軍として編成されたのが始まりとされています。1689年の権利章典以降、平時の常備軍の維持には議会の同意が必要になりました。
空軍(Royal Air Force):1918年4月1日、陸軍航空隊(RFC)と海軍航空隊(RNAS)が統合されて誕生しました。陸海軍から独立した空軍としては世界で初めての存在です。
軍服の歴史
古着として出回るイギリス軍のアイテムの多くは、20世紀以降のものです。年代ごとの主な流れを押さえておくと、手に取ったアイテムがどの時代のものか想像しやすくなります。
1846年 カーキの誕生:英領インドで編成されたガイド部隊(Corps of Guides)を率いたハリー・ラムズデンが、白い木綿を泥で染めた土色の制服を採用しました。これが「カーキ」の始まりとされています。
1902年 カーキの制式化:ボーア戦争(1899〜1902年)の経験を経て、カーキ色のサービスドレス(Service Dress)が正式に採用されました。
1937年 バトルドレスの登場:短い丈のウールサージのブラウスと、ハイウエストのトラウザーズを組み合わせた「1937 Pattern Battledress」が採用され、第二次世界大戦開戦の1939年ごろから広く支給されました。
1940年代前半 デニソンスモック:空挺部隊向けに、手描き風の迷彩を施したデニソンスモックが開発されました。イギリス軍の迷彩服の原点ともいえる存在です。
1949年 1949 Pattern:戦後、バトルドレスのブラウスに幅の広い襟(ラペル)が付けられ、開襟で着られるデザインに改められました。
1950年代 グリーンデニム:温暖な地域や夏場向けに、1949 Patternに似た形をグリーンのデニムで仕立てた作業・戦闘服が支給されました。
1960年 1960 Pattern:大戦期から続いたバトルドレスに代わり、無地のオリーブグリーンのコットン製コンバットスモックが採用されました。
1966〜1968年 DPM迷彩:イギリス独自の迷彩柄「DPM(Disruptive Pattern Material)」が登場し、1968 Patternとして全軍に行き渡りました。迷彩服を全軍に支給した例としては世界で最初とされています。
1995年 Combat Soldier 95:重ね着を前提とした新しい被服システム「CS95(Combat Soldier 95)」が導入され、DPM迷彩のフィールドジャケットやスモックが支給されました。
2010年 MTP迷彩:DPMに代わる新しい迷彩柄「MTP(Multi-Terrain Pattern)」が導入され、約半世紀続いたDPMの時代は終わりを迎えました。
古着として見るときのポイント
ブロードアロー
タグやスタンプに見られる矢じり形のマーク「ブロードアロー(Broad Arrow)」は、イギリス政府の所有物であることを示す印です。17世紀末、盗難防止のために政府の備品へ付けるよう定められたとされ、軍服にも長く使われてきました。イギリス軍のアイテムかどうかを見分ける手がかりのひとつです。
体格で表すサイズ表記
1950年代ごろのタグには、サイズ番号に加えて身長(Height)や胸囲(Breast)、ウエスト(Waist)がフィート・インチで記されているものがあります。現代の服のS・M・Lとは考え方が違うので、購入時は実寸もあわせて確認すると安心です。
民間メーカーによる製造
軍服の多くは、軍と契約した民間の衣料メーカーが製造していました。タグにはメーカー名と製造年が記されていることが多く、同じモデルでもメーカーごとの縫製や生地の違いを見比べる楽しみがあります。
代表的なヴィンテージアイテム
Vook tokyoのKnowledgeでは、イギリス軍の代表的なアイテムを年代別に紹介しています。気になるものがあれば、詳しいディテールや年代の目安をチェックしてみてください。
バトルドレスジャケット(1950年代):ウールサージの短い丈が特徴の、イギリス軍を象徴する一着。
グリーンデニムジャケット(1950年代):1949 Patternに似た形をグリーンのデニムで仕立てた、生産期間の短い希少なモデル。
イギリス軍のスモック:デニソンスモックをはじめとする、防風・防寒のための上着。
DPMフィールドジャケット(1990年代):CS95の一部として作られた、DPM迷彩のリップストップジャケット。
SASフィールドジャケット(1990年代):特殊部隊SASで採用された、ブラックのリップストップが目を引くモデル。
PCSサーマルジャケット:フリースのライニングで保温性を高めた、現行世代のレイヤリングウェア。
まとめ
イギリス軍の軍服は、カーキの誕生からバトルドレス、DPM迷彩、MTPへと、時代ごとの戦い方や気候への対応とともに姿を変えてきました。アメリカ軍のミリタリーウェアとはひと味違う素材使いや色合いは、古着として取り入れたときにも新鮮に映ります。タグのブロードアローや年代表記を手がかりに、自分だけの一着を探してみてください。
そのほかのイギリス軍アイテムはBritish Militaryのページからまとめて見られます。
参考
Wikipedia. History of the British Army, (参照 2026-10-30).
Wikipedia. Royal Navy, (参照 2026-10-30).
Wikipedia. History of the Royal Air Force, (参照 2026-10-30).
Wikipedia. Guides Cavalry, (参照 2026-10-30).
Wikipedia. British Battledress, (参照 2026-10-30).
Wikipedia. Denison smock, (参照 2026-10-30).
Wikipedia. Disruptive Pattern Material, (参照 2026-10-30).
Wikipedia. Broad arrow, (参照 2026-10-30).
National Army Museum. The Restoration and the birth of the British Army, (参照 2026-10-30).