01 Magazine
【ディテール比較】デニムのバックポケット〜アーキュエイトステッチ・レイジーS・サイレントW〜
はじめに
アメリカのファッションシーンを象徴するデニム。その魅力の一つに、各ブランド固有のバックポケットのデザインがあります。この記事では、リーバイスの「アーキュエイトステッチ」、リーの「レイジーS」、ラングラーの「サイレントW」という、3大デニムブランドの象徴的なステッチデザインについて説明します。
レイジーS:リーのアイデンティティ
1944年、リーは「レイジーS」ステッチをバックポケットに導入しました。この革新的なデザインは、バックポケットのステッチが合わさると、ロングホーンの形に見えるように意図されています。この背景には、リーバイスのアーキュエイトステッチの商標登録を受けて、リーは独自のステッチを考案せざるを得なかったというものがあります。なおこのアイデアは、リーのカウボーイ衣料のライン、Lee Ridersのラベル変更と同年に発表されました。
サイレントWステッチ:ラングラーの革新
ラングラーのバックポケットに見られる「サイレントWステッチ」は、ラングラーのアルファベット「W」をデザイン化したものです。この名前は、「Wrangler」の「W」が発音されない(サイレントである)ことから来ています。このサイレントWが採用されたのは、1948年。この年はWrangler初のジップフライジーンズ11MWZが発表された年でもあります。
アーキュエイトステッチと商標登録
リーバイスは、ジーンズのバックポケットに特徴的な「アーキュエイトステッチ」を入れており、これがブランドの象徴の一つになっています。「arcuate」は弧状や弓形を意味し、このデザインはリーバイスによって商標登録されています。リーバイスのこの行動は、他のブランドが独自のデザインを追求するきっかけを提供し、結果的にリーのレイジーSやラングラーのサイレントWの誕生に繋がりました。
結び
リーバイス、リー、ラングラーというアメリカを代表する3大ジーンズブランドは、アーキュエイトステッチ、レイジーS、サイレントWといったバックポケットの独特なステッチデザインを通じて、各ブランドのアイデンティティを確立しています。これらのデザインは、デニムの歴史において創造性と革新性の象徴として、今もなお多くのファッション愛好者に愛され続けています。
参考
- note.wranglerの親ブランド「ブルーベル社」の名前の由来にはロマンがあった^^, (参照 2024-03-30).
- denimarchieves.リーバイス ーアーキュエイトステッチの変遷ー(その1), (参照 2024-03-30).
- mylevis501.Leeの歴史: 戦時中と戦後編, (参照 2024-03-30).