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【ディテールの歴史】Levi's 赤タブの変遷

Levi's 赤タブ、その小さなピスネームが放つ大きな存在感
デニム愛好家にとって欠かせない存在、それが「赤タブ」。ジーンズのバックポケットに縫い付けられたこの小さなピスネームには、時代とともにさまざまな物語が刻まれている。今回はヴィンテージLevi'sを語る上で欠かせない、この赤タブの変遷を紐解いていこう。
赤タブの誕生と歴史
① 1936年〜:BIG Eの誕生
1936年、Levi'sは競合他社との明確な差別化を図るため、赤色のピスネーム「赤タブ」を導入した。初代赤タブ、通称「BIG E」は「LEVI'S」と全て大文字で記され、その姿はシンプルながら圧倒的な存在感を放った。刺繍は片面で片面タブとも言われる。

② 1950年代:両面タブの登場
戦後の1950年代になると、「BIG E」タブは両面刺繍となり、裏表どちらから見ても「LEVI'S」の文字がくっきりと浮かび上がるようになった。両面タブとも言われる。
Image by: hands-on
③ 1971年:small eタブへ移行
1971年、ブランドイメージの刷新に伴い、大文字の「E」が小文字の「e」に変更された。この変更を機に、「small e」タブが新時代を象徴する存在となり、ヴィンテージ市場では赤タブの「E」の大小が希少性を見分ける重要な指標として認識されるようになった。ただし、Levi's 501のモデルでは、BIG E(1967〜1973年)と66前期(1974〜1977年)の大きな違いは、この赤タブがBIG Eなのかsmall eなのかという点である。一般的には1971年からsmall eへの移行が始まったとされるが、501モデルに関しては、実際には1973年〜1974年頃にかけて徐々に移行したと市場では認識されている。(参考:私のリーバイス)

空白タブ(サークルR)という特別な存在
赤タブの歴史には、もうひとつ特筆すべき存在がある。それが「空白タブ(サークルR)」だ。通常「LEVI'S」の文字があるはずの場所に、あえて何も刺繍されていないこの特殊なタブは、商標維持のために不定期で製造され、コレクターの間で特別な価値を持っている。
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年代判別ガイド
赤タブの細かなディテールで年代を判別することが可能だ。以下のポイントを覚えておくと便利だ。
- BIG E(1936年〜1971年):LEVI'Sの文字が全て大文字
- small e(1971年以降):「e」が小文字 ※ 公式では1971年、実際には1974年か
- 片面タブ(1936年〜1952年):ロゴ刺繍が片面のみ
- 両面タブ(1952年以降):ロゴ刺繍が裏表両方にある
- 均等V(〜1967年頃):501XXの最終期頃(1967年頃)まで、LEVI'SのVの文字両側が同じ太さの表記デザインの赤タブ
- 不均等V(1967年頃〜):501XXの最終期頃から、LEVI'SのVの文字右側が細い表記デザインの赤タブ (参考:私のリーバイス)
Levi's赤タブが伝えるもの
Levi'sの赤タブは、単なるブランド表示を超え、時代を映し出す鏡でもある。その小さな変化ひとつひとつが、ヴィンテージデニムの奥深さを教えてくれる。あなたの手元の一本の赤タブにも、きっとまだ知らないストーリーが隠れているはずだ。